工房粉塵対策


木工作業で舞い上がる細かい塵は凄いです(;_;)
この対策を考えます。但しやっぱり簡単安上がりですが・・・


粉塵対策1(扇風機排塵)

   皆さん木工作業で舞い上がる木屑、凄いですよね。工房の粉塵対策どうしていますか?

   サイクロン吸塵機も随分改良されています。このような電動工具の吸塵も、工房の粉塵対策として、大きな効果があると思います。しかしもう一つ、工房全体の排塵対策も必要だと思います。Woodturning.mieさんが、木工旋盤作業での粉塵対策を色々考え、機材を導入したりしていますが、最近改めて換気扇の重要性を掲示板で書かれていました。

   私も工房の粉塵については、以前から非常に気になっていました。そこでこの際、工房の粉塵について調べて、その対策をしてみようと思います。何よりも安全・健康第一が大切です。ただ、例のように、あまり難しい事は出来ません。簡単に出来る取り組みをして、どの程度効果があるかを調べてみます。

   粉塵のテストは非常に簡単な方法です。右の写真の様に、家庭用掃除機の吸い込み口に、ティッシュペーパーを輪ゴムで留め(ほぼ工房の中央に、丁度私が立ち上がって口の高さになる位置にひもで吊るしました)工房のダストを2分間吸わせました。強く吸わせるとティッシュに穴があいてしまうので、弱くして吸わます(5段階の2にしました)。
   判定はティシュに付着した粉塵の色の濃さで見分けます。簡単な方法ですが、違いがはっきり分かります。

   まず最初の超簡単排塵方法は・・・なんと扇風機排塵です。やっぱりイイカゲンな方法ですね(^_^;)。

   皆さんも電動工具を使っている時は防塵マスクをしていますね。しかし使い終わって電源を切って、その後どれぐらいの時間マスクをしていますか?マスクはどうしてもウットウシイので、すぐはずしてしまう人も多いのではないかと思います。

   右の2つの写真はスライド丸ノコ(吸塵装置を付けていない)を使い、(ブラックウオルナットの角材連続10回切断・・・色の濃い材の方が粉塵がよく分かるので使いました・・・アアもったいない)その1分後に掃除機のスイッチを入れ、2分間工房のダストを吸わせました。
   見て下さい。ティッシュに付いた色が全く違うのです!扇風機を使って排塵(放塵かな?)した(右)、かしないか(左)だけの違いです。

   私の工房は8畳間です。画像のように窓を少し開け、そこに扇風機を置いて排塵しました。反対側に2つふすまの戸があるのですが、両方ともほんの少し隙間を開けて、工房の空気の流れを制御?したつもりです。

   扇風機1台の排塵で、1分後の工房の粉塵はこんなに違うのです!閉め切った工房の中で、排塵対策を何もしなければ大量の粉塵は相当な時間舞い上がります。防塵マスクは電動工具を使い終わった後でも、当分はずせませんね。
   しかし、扇風機で排塵を数分間すれば粉塵は激減します。イイカゲンな扇風機排塵でもこれだけ違うのです!やはり排塵の効果は大きいでしょう。安い換気扇を買って、設置しようと思います。そしてさらに詳しいテストを行うつもりです。

   現在、他にも色々なテストをしています。電動工具の吸塵した場合とそうでない場合の工房の粉塵の違い、時間経過による粉塵の状態などです。さらに今後、工房に換気扇を設置し、色々調べてみようと思っています。
   皆さんの役に立つ情報が発信できると良いのですが、皆さん時々覗いて下さい。またこの粉塵調査は超簡単なので、皆さんも色々試して、工房クリーン化に役立つ方法があれば教えて下さ〜い。

   また長ったらしい文章になってしまいました。ゴメンナサ〜イ。

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超簡単検査方法です。工房の粉塵の凄さにビックリ!
 
スライド丸ノコ使用1分後に、2分間吸い込ませる。
左は、窓を閉め扇風機排塵なし右は扇風機排塵をした場合。この違い!!

ただこうして扇風機を使って、窓から外に排塵しただけです。

掃除機のノズルを首から吊るしてテストです。

@吸塵、排塵なし

A吸塵をしながら(ヘンテコ自在ノズル利用)

B扇風機排塵の背後で

@はっきりと塵の跡が付いた。

A塵がうっすらと付いていますが画像ではよく見えませんね。
Bは肉眼でも全く分からないので画像は省きました。
粉塵対策2(手磨き粉塵)

   早速次の粉塵テストです。

   「サンダーなどの電動工具を使わず、手磨きの時はそう激しく粉塵が舞い上がらないのでは?」と思って防塵マスクをしないまま、ペーパーを使って作品を磨いてしまう事はありませんか?

   私はサイコロつくりでは、板に貼り付けたサンドペーパーを使って手磨きしています。この時マスクをしたり、しなかったりなのですが、実際にはどれ位粉塵が舞い上がっているのか、気になって調べてみました。

   150番のペーパーを貼り付けた板を使って、ブラックウオルナットの木片(6×12cm)を5分間磨きます。なるべく粉塵が舞い上がらないように注意しながら行います。測定用のティッシュを貼り付けた掃除機のズルを、なるべく口の近くになるように首からぶら下げて行いました。(ヘンな格好ですね)

@吸塵、排塵対策を何も行わない場合。(閉め切った部屋で)
A吸塵機のノズルを磨きの近くの設置して行う場合。
B扇風機排塵装置(笑)を利用して行う場合。
の3つで比較しました。

   さて結果ですが、左の画像をみてもらえば分かりますね。@ははっきりとティッシュにウオルナットの粉塵が付着しています。Aは画像ではよく分かりませんが、肉眼では、うっすらそれでもはっきりと塵が付着している事が分かります。Bは画像を省きました。肉眼で見ても全く塵の付着は認められません。

   もうお分かりですね。やっぱりというべきでしょう。塵が舞い上がらないようにそっと手磨きしているつもりでも、やはりかなりの粉塵が舞い上がっているのです。Aのように、吸塵ノズルの近くで手磨きを行えば、相当の改善が行えます。しかし、私の使っている吸塵機のように小型のものでは、それだけでは全ての粉塵を取り除く事は出来ませんでした。一方、窓際に置いた扇風機の背後で手磨きを行った場合Bは、ほぼ完璧に排塵する事が出来ました。この場合はマスクは必要ないでしょう。
   扇風機排塵は簡単・イイカゲンですが、効果は大きいです。

   このテストをして、 手磨きでも予想以上に粉塵が舞い上がる事が分かりました。このように板に貼り付けたペーパーの上で磨いてもこの結果ですから、ペーパーを手に持ち、全くのフリーハンドで磨けばもっと舞い上がると思います。
   ティッシュに付いた褐色の粉塵を見ていると怖くなります。何の対策もしないと相当肺に吸い込んでしまうでしょう。私も今まで10数年間、相当の粉塵を吸っているでしょうね。

   マスクは必須という、当たり前の結論です。それに排塵装置もやはり絶対必要ですね。


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粉塵対策3(粉塵停滞テスト)

   粉塵対策1でも、扇風機排塵をするかしないかで、粉塵の排出が大きく違う事は明らかだったのですが、もう少し詳しく、粉塵がどのぐらいの時間滞留しているのか調べてみました。

   テスト方法は粉塵対策1とほとんど同じです。
   ブラックウオルナットの角材をスライド丸ノコで連続10回切断し(ア〜もったいない)、その後時間の経過とともに、各1分間づつ工房の空気を吸引しました。

   画像では分かりにくいのですが、何も対策をしない閉め切った工房では、15分後まで、ティッシュに粉塵が付いていることが分かります。さすがに30分経つと、肉眼でも全く粉塵の付着を認めることは出来ませんでした。
   しかしこのテストの最中は、空気を掻き乱さないように私もじっとしていたので、実際には動き回って作業をするなど空気をかき混ぜれば、もっと長く粉塵が滞留するのではないか、と思います。

   しかし、扇風機排塵をするとティッシュに付いた粉塵は、1分後で対策をしない場合の7分後とほぼ同じになります。さらに3分後には何もしない場合の15分後とほぼ同じで、5分後にはもう全く肉眼でも認められなくなりました。

   イイカゲンな実験なので、正確ではありませんが、時間的にはほぼ5〜7倍の速さで工房の粉塵が少なくなった、という結果です。扇風機排塵でも効果が大きい事を、改めて確認する事が出来ました。

   春から秋は、こうして窓を開けはなして、簡単に扇風機排塵が出来ます。しかし問題は冬ですね。冬は寒さに負けて、閉め切った工房で作業をしていまいます。やはり換気扇を設置して、冬でも排塵が出来るような工房を作らなければいけません。

   最近ホームセンターで、大型の工場扇が激安で売っていますねえ。これを使えば、素早く排塵できるでしょうね。どうしよう。
   それにしても、スライド丸ノコはもの凄い粉塵です!やはりテーブルソーが欲しいなあ・・・

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粉塵対策4(粉塵の流れは・・・)

   粉塵のテストを色々しています。

   ネットで調べてみると粉塵対策は色々あるのですね。プッシュプル方式って知ってますか?その名称の通り空気を押し引きして流れを制御し、粉塵を排出する方法です。なるほど〜。
   あまり難しいは事は出来ませんが、換気扇を使って、少しでも工房の空気の流れを制御すれば効果的な排塵が出来るのではないか、と考えて試してみました。ところが・・・

   私の8畳の工房は図のようになっています。換気扇は床から1mの高さに設置しました。そして2ヶ所の反対側のふすま(a,b)を幅5cmほど開け、工房に空気の流れを作り出し、効果的に排塵しようと思いました。

   テスト方法は今までと全く同じです。スライド丸ノコでウオルナットの角材を10回切断し(アア勿体ない)、その1分後にティッシュを付けた掃除機のノズルで工房の空気を1分間吸引しました。その結果が右下の画像です。

はふすまを2ヵ所少し(5cm)開けた場合。
はふすまaを少し開けた場合(ふすまbは閉じている)
はふすまbを少し開けた場合(ふすまaは閉じている)
はふすまaを少し開け、さらにふすまの外から扇風機で工房に緩く空気を送り込んだ場合。
E〜Gはふすまを閉めた場合。(納得できず何度も試しました)

   私の予想とは全く違った結果です。
   ふすまを少し開けると、工房の空気がスムーズに流れ、効果的に排塵できると考えました。しかしテストしてみると、ふすまを開けた方が粉塵の排出が悪い、という結果(A〜D)なのです!?
   明らかに、ふすまをピッタリ閉め切った方が粉塵がスムーズに排出しています!(E〜G)この結果に納得できずに何度も試したのですが、やはり同じ結果です。

   一体何故でしょう?
   疑問に思って電球の灯りを透かして、工房の各場所で粉塵の流れをよ〜く眺めて見ました。すると、工房を漂う細かい粉塵の流れは私の予想通りには全くなっていないのです。
   ふすまを少しでも開けると、そこから工房に空気が強く流れ込みます。ところが工房には色々な機材や、材木などが置いてあるので、流れ込んだ空気はこれらの配置に影響を受け、複雑に動き回り、場所によっては緩い渦を巻いているのです。工房のほぼ中央では、何と換気扇と反対側に粉塵が移動しているのです!!。Dの場合のように強制的に工房に空気を吹き込んだ場合は、粉塵の排出が最も悪い、という結果です。

   換気扇の周囲付近と、すき間を少し開けた所以外の気流は、全く予想できない複雑な流れなのです。むしろふすまを閉め切った方が、工房に不規則な気流、攪拌(かくはん)が起きないのでスムーズに粉塵が排出されるのだと思います。
   私の工房は扉がふすまなので、わざわざすき間を開けなくとも、あちこちから隙間風が緩やかに流入するので、その方が工房に複雑な気流が出来にくいのだと思います。

   小さな工房でも、気流の流れは非常に複雑で、簡単には制御出来ない事が分かりました。
   線香の煙でも試して見ましたが、確実に換気扇に吸い込まれて行く空気の流れは、換気扇の背後40cm程でしかありません。

   難しいですねえ!換気扇を2つ、3つにすれば工房の気流を制御出来るでしょうか?粉塵を早く排出できる事は確実です。しかし、工房の中央付近での気流の制御は難しいでしょうねえ・・。

   フ〜いつもながら長ったらしい文章でゴメンナサイ

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換気扇は工房の床から1mの高さに設置しました。

私の工房の見取り図です。


テストの結果です。
粉塵対策5(吸塵の効果)

   先日我楽多工房さんが掲示板に書き込みして頂いて、特に問題となる粉塵はSPMと呼ばれる10μm以下の浮遊粒子で、長く空中を浮遊する、と教えて頂きました。さらにネットでも調べたのですが、10μm以下の粉塵は肺の奥まで侵入し、じん肺などの病気を引き起こすという記述もありました。

   私はティッシュを使って粉塵の調査をしていますが、これは10μm以下の浮遊粒子を捕らえているのでしょうか?単にティッシュの色を比べるだけでよいのでしょうか?金属や土木などの粉塵に比べて、木工粉塵(木屑だけでなく、サンディングで舞い上がる研磨粒子などもある)についてはネットでも記述が少ないと思います。
   先日シンプル栗原さんと話した時「一般の人よりプロの木工家の方が、かなり肺ガンなど呼吸器の病気が多いのではないか。」と言われていました。
   やはり安全第一、健康第一だと思います。趣味とはいえ、長年木工している間に吸い込む粉塵は、決して馬鹿にならないでしょう。たった1分間の吸引テストで、ティッシュにびっしり付着する粉塵を見て怖くなりました。
   皆さん何か情報があれば教えて下さい。

左は吸塵なし、右は吸塵しながら。差は明瞭です。


防塵マスクに防音ヘッドホンおまけに掃除機のノズルまでぶら下げて・・・
まるで、SF映画のようですね。
WAKUさんから笑われてしまいました(笑)

ウ〜暑い!
   さて、次の粉塵テストです。
   バンドソーを使って吸塵をした場合と、そうでない場合に、どの程度舞い上がる粉塵が違うか試してみました。

   私のバンドソーの吸塵対策は、吸塵機のノズルを出来るだけ、定盤の下のブレードに近づけて設置しています。詳しくは工房・工具2を見て下さい。バンドソーの周辺に散らばる切屑は、この吸塵対策で、何もしない場合の10分の1程に減少します。当然舞い上がる粉塵も激減していると思います。それを確認するためにテストをしてみました。

   テスト方法はティッシュを付けた掃除機のノズルを首からぶら下げながら、ウオルナットの挽き割り作業をしました。挽き割作業中と、作業後30秒間吸引しました。
   その結果が左の画像です。やはり吸塵をしながら(右)と吸塵しない場合(左)では舞い上がる粉塵は大きな差があります。当然の結果だと思います。

   しかし、吸塵した場合も少ないとはいえ、やはり粉塵が舞い上がっています。吸塵している場合は防塵マスクをしなくても良いのでは、と考えマスク無しで作業する事もよくありますが、やはり防塵マスクは必要だと思います。
   もっと強力な集塵機を使えば舞い上がる粉塵を押さえる事が出来るでしょうか?しかし、完璧は難しいでしょうねえ。

   すでに真夏のような暑さで、工房も温室状態です。防塵マスクはうっとうしいですが・・・。
   ウウウ、木工は忍耐です(-_-;) 。

またまた長くなっちゃいました。スミマセン。

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京大大学院 農学研究科 森林科学専攻 林産加工学分野

   なんと京大大学院 農学研究科 森林科学専攻 林産加工学分野のHPにリンクをさせてもらいました。ホントに怖れを知らない、恥を知らないのほほん木工房です(笑)。
   我楽多工房さんから、教えて頂いたのですが、大変興味深い研究が行われていて、ぜひ皆さんにも見て頂きたいと思ったのです。

   粉塵についての調査・研究もありますが、木材加工について色々記載されています。私には難解な、専門的な研究もありますが、私たちが見ても大変参考になる内容だと思います。教授の講義資料も興味深く拝見させてもらいました。
   こうして大学の研究内容を、インターネットで見ることが出来る事は、とっても有益な事だと思います。多くの研究を、こうしてホームページにアップしてもらえれば、研究者だけにとどまらず、裾野が広がり、より研究成果を生かせる場が増えるのではないか、と思います。
   快くリンクの了解をして頂いた林産加工学研究室に感謝しております。

   粉塵について、大変興味深い内容があります。このホームページの中の 快適な作業空間や居住空間の設計(木材加工室の浮遊粉塵の評価と予測)を見てください。やはり微細な粉塵程長く滞留すること、工房では複雑な渦流が発生する事、等々がシュミレーションまたモデル実験で明らかにされています。
   多くの図表があるのですが、ここで全てを説明する事は出来ません。みなさんぜひ訪問してご覧になって下さい。やっぱりと思える内容から、予想外の内容ま色々で興味深い内容が記載されています。

   さらに注目したい事は木材加工研究のデータベースが作られていて、簡単にどのような研究論文があるのか知る事が出来ることです。
   論文そのものは大学や研究機関、あるいは専門の図書館等に行かなければ見ることは出来ないかもしれませんが、どういった論文があるのか、手軽に知る事が出来るのです!時代は進んでいますねえ。

   今更驚いている私が遅れているのでしょうか?

のほほん


これは林産加工学とは関係ないです。

小2の息子が、サイコロをダルマ落としにして遊ぼうとしたので、慌てて止めました(汗)
でも他に使い道がないなあ(笑)


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